あまりかぜです。
折しも巨大資本で作られた真田博之の『SHOGUN将軍』がエミー賞18冠を達成し、本物の時代劇が注目されている中、拡大公開された邦画を観てきました。
感想は基本的にネタバレです。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ
■感想
単館から始まり、シネコンにまで上映館が拡大していった過程が製作費300万円とされる『カメラを止めるな!』とそっくりというネットニュースもありますが、『カメ止め』のようなどんでん返しを期待すると肩透かしを食らうかもしれません。面白さの質が違う作品です。
腕に自信がある無名の下級藩士が現代にタイムスリップするという、コメディタッチのヒューマンドラマで、話自体は王道そのものです。ラストシーンもカメラ位置から、オチは予想できました。
ですが、クライマックスの真剣を使った殺陣シーンは圧巻で、目が離せません。
両者微動だにしない静止から始まる連続立会い。斬られ役の大部屋俳優が「本物の侍だ」と声を上げるのもわかる気迫と緊張感。竹光で行うチャンバラとは全く違う凄さがあり、見事というほかありません。ここは見どころです。
彼らの「精一杯生きるしかない」という言葉から、どんな時代でも、たとえ理不尽な状況であっても、できる限り人として正しいことを行っていくことで、前向きに生きていくことができるというメッセージを感じる映画でした。
もちろんインディーズ ゆえの欠点もあります。ヒロインがミスマッチというか、物足りなく感じました。舞台が同じだった朝ドラ『カムカムエヴリバディ』が脳裏にチラついて、どうにも魅力的に感じられなかったのです。京都人なのに、いい人すぎるというか。最後まで助監督の仕事に徹していた点は良かったと思いますが。
キャストもスタッフもエンドロールに何度も同じ名前が出てくるのを見て、超低予算で作られていることを実感します。
たとえ、本業が米農家の監督だろうと、有名俳優はいなくとも、日本の時代劇も決して捨てたものではありません。
ぜひ2作目が作れるくらいロングランを続けてほしいものです。
↓こんなのも書いてます